筋トレと有酸素運動、どちらを先にやるべきなのだろうか?

「ボディメイク最後の仕上げとしてどうしても筋トレと有酸素運動を両立したい」
そんな悩みを抱えるあなたに、オススメのトレーニング順序を解説してみました。
こんにちは、みのです。
筋トレと有酸素運動を同じ日に行う場合、一般的には筋トレ→有酸素の順に行うのが良しとされています。
ですがこの順番はどの場合でも不変なのでしょうか?
結論
目的を設定してから順番を決めよう
前提条件
有酸素運動に対するみのの変わらないスタンス
こうしたボディメイク情報をネットで発信をしていたり、自分自身筋トレしていることを公言していると、当然ですがダイエットやボディメイクに関する相談をされることも多いです。
そんな時に多いのが「とりあえずランニングしている」という声です。
僕のボディメイクに関する主張はこのアカウントを設立したときから変わらないのですが、「有酸素運動はいらない」です。
理由はこちらの記事でも解説していますが、やはり未だにダイエットとなると一目散に有酸素運動に走る人が多く見られます。
有酸素運動をしてもいいケース
こうして考えなしに「ダイエット=有酸素」となっている方は論外ですが、理由があって有酸素を取り入れたい方もいるかと思います。
夏前の海で水着を着なければならない女性とか、海でモテてみたい男性は特にですね。
ダイエットやボディメイクのために筋トレを始めた人が、最後の追い込みとして除脂肪をかける際に「筋トレ→有酸素運動」の流れが良いと一般的には言われています。
ですがこの順序は果たして本当に効率的なのでしょうか?
「筋トレ→有酸素」が推奨される理由
エネルギー的視点の誤解
まずはエネルギー的視点から考えてみましょう。
よく「有酸素運動は脂肪を直接燃やす」と言われていますが、これは本当でしょうか?
一般的に言われることは「運動開始後20 分で糖が使われ、その後脂肪が使われ始める」ということです。
なんですが、これは生命科学上間違った定説です。
4つのエネルギー機構
では人が活動をする際に、一体どのようにエネルギーを得ているのでしょうか?
活動時間順に以下の4つの機構が用いられています。
そして脂肪が用いられるのは有酸素機構です。
したがって、実際には運動開始3分以降に脂肪が燃え始めているということがわかります。
エネルギー通貨は同じ
ここまででエネルギーを生み出す機構は4つあることをお話しました。
また、各原料に関してはATP-CP 系は元々貯蔵してあるエネルギーを使う。
解糖系、TCA 回路+電子伝達系は主に糖質を原料とする。
有酸素機構は脂肪を原料とするということです。
ここまでで4つの機構を見てきましたが、ひとつ注意点があります。
それは、経路は異なるが最終生成物は同じということです。
つまりATP-CP系を用いても、有酸素機構を用いても、人が活動するにはATP というエネルギー通貨を用いることになります。
全てのエネルギーの素、ATP とは?
ではATP とは一体何なのでしょうか?
この特性に関しては長くなるのでまた別の機会に回しますが、通貨が示すとおりまさしく「お金」です。
ATP が存在する理由も通貨が発生した理由と同じです。
「お金」はどのようにして生まれるのか?
ここから先はある例え話です。
先程4つのエネルギー機構を紹介しましたが、それぞれを別の職業として考えます。
仮に、農家、酪農家、漁師、狩人の4人がいるとします。
彼らは自給自足及び物々交換で生活しています。
農家は魚が食べたくなったら漁師のもとに訪れ、米と魚を交換してもらいます。
運良く漁師が米を食べたければ良いですが、その日は肉が食べたいので魚はいらないよと言ったとします。
一方狩人は牛乳が飲みたいと言って、漁師の申し出を断ります。
となると、米は余り、魚は腐ってしまいます。
せっかく製品を生産しても、その価値が減っていってしまうのです。
これだと生活に困ってしまうので、生産した価値をより保持し続けられうように知恵を絞りました。
結果的に「貯蔵できる価値」として塩が用いられ、塩より運びやすい貝が使われ、その後更に価値が安定している硬貨が鋳造され、持ち運びに便利な紙幣が用いられるようになったのです。
つまり全ての商品、サービスを「同一通貨」でやりとりできるということですね。
この人体版がATP です。
ATP の仕組み(例え話)
例えるならアデノシンという財布にリン酸基というコインが3つまで入る仕組みになっています。
ATP(Adenosine TriPhosphate :アデノシン3リン酸)ならリン酸基が3つ(ATP のTはTori の頭文字で、ギリシャ数字の3を表します。)
コインを1つ使って、2つになったらADP(Adenosine DiPhosphate :アデノシン2リン酸)。
更に減って、AMP(Adenosine MonoPhosphate :アデノシン1リン酸)です。
※上図はあくまでもイメージです。実際にはアデノシンにリン酸基がくっつく形でATP を形成しています。
どの臓器でもATP によりエネルギーを得て、全てのエネルギー機構でATP を生産します。
こうしてリン酸基をあたかもお金のように増減させて、生命エネルギーを生み出しているのです。
そしてこのATP を発生させる源が食事であり、実際の工程が先程見てきた4つの機構なのです。
先に筋トレが推奨される理由
ここで本章冒頭の疑問に回帰します。
なぜ筋トレから行うのか?
それは筋トレをしても有酸素運動をしても使われるエネルギーはATP なので、先に筋トレをした方が時間あたりに使えるATP 量が多いからです。
これは先程の表の即効性という項目からもわかります。
ATP-CP 系は体重1kgあたり、1秒間に13kcal 発揮することができますが、有酸素機構では3.6kcal しかありません。
なので先に有酸素運動をしてしまうと、せっかく高出力が使える時間帯をみすみす手放し、低出力の運動に当てていることになるからです。
そして、その低出力の有酸素運動後に高出力の筋トレを行おうとしても、すでにATP-CP 系~電子伝達系までの機構は使ってしまったので、低出力な有酸素機構に頼るしかないということになるのです。
これが筋トレ→有酸素の順が推奨されている理由ですね。
そしてここまでだったら生命科学をある程度学んだ人ならば導ける結論です。
(体感的にも有酸素→筋トレは力が出ないことはわかりますしね…笑)
では続いて、筋肥大という目的からトレーニング順序を考えてみましょう。
脂質代謝活性からトレーニング順序を考える
先程はエネルギー効率からトレーニング順序を考えましたが、次は酵素活性から考えてみましょう。
脂質代謝活性を促す因子
まず結論から話すと、除脂肪に最適なのは筋トレ→有酸素という流れです。
なぜなら有酸素中は脂質代謝が活性化するからです。
この活性を引き起こすのは筋トレ中に放出される成長因子です。
- 成長ホルモン
- アドレナリン
- ノルアドレナリン
これらの因子が放出されるので、有酸素運動中に脂質の代謝が活性化され、体脂肪が燃やされてエネルギーになるということです。
では逆に有酸素運動をした後に筋トレをするとどうなるでしょうか?
有酸素→筋トレの順番にすると?
こちらはホルモンの分泌が完全に抑制されます。
理由は筋トレによってこれらの因子が生成されるにも関わらず、生成される前に有酸素運動を行っても意味ないからですね。
トレーニングしたからウォームアップするようなものです。
成長ホルモンの働きから考える
さらに従来の意見を踏襲すると、「筋肥大に必要な成長ホルモンの分泌が少なくなるのでダメだ」 ということも言われそうです。
ですがこの成長ホルモンに関しては今効果が見直されています。
現在の研究結果では、最も筋肥大に影響するものは成長因子であると考えられているのです。
この成長因子というのは以下の様なものです。
- IGF-1(インスリン様成長因子-1)
- TGF-B(トランスフォーム成長因子-B)
- FGF(線維芽細胞成長因子)
- プロスタグランジン
- etc…
なので有酸素運動の後に筋トレをして成長ホルモンの分泌が低下していたとしても、成長ホルモン自体がそこまで筋肥大に影響しないのであれば、それは問題がないのかもしれないということです。
したがって一昔前に言い伝えられていた「筋肥大を促す最大要因は成長ホルモン」は間違いということです。
注目酵素はAMPK
有酸素運動について言及する際の重要なファクターとして 注目されているのがAMPK というものです。
AMPK が働くとき?
一般的にAMP キナーゼと呼ばれていてAMP をリン酸化する酵素ですね(キナーゼとはリン酸化酵素)。
AMP というのは先ほどのエネルギー通貨ATPのリン酸基が1つのタイプです。
エネルギー生産によって1つになってしまったリン酸基を再度補充するための酵素がAMPK です。
家庭の財布事情が悪化したので、一時的にコンビニでバイトするような感覚です。
そのバイトによって、1つだったリン酸基が2つ、そして3つに戻ります。
では、このバイトはどんな時にしなくてはなりませんか?
当然、金(この場合エネルギー)が足りないときですよね?
つまり、AMPK 活性が高いということは、エネルギーが足りていないということになります。
AMPK の役割
そしてこのAMPK には4つの注目すべき役割があります。
- 筋繊維のグルコース取り込み能力向上
- 脂質代謝能力向上
- ミトコンドリアの増殖亢進
- mTOR シグナル伝達系の反応阻害
上3つがエネルギー生産性の向上を目的とし、最後のひとつがタンパク合成を阻害すると言う意味です。
これ、どちらもエネルギーが足りていない故の苦肉の策ということがわかりますか?
エネルギー生産性の向上も、タンパク合成の阻害も、どちらも使えるエネルギーを増やすという目的のもとに成り立っています。
エネルギーが足りないから生産量を増やしているのに、増やしたそばから筋肉合成でエネルギーを使っていたのでは本末転倒ですね。
各運動におけるAMPK 活性の変化
実際にラットに筋トレと有酸素運動させ、AMPK の活性を観察するという実験をした研究グループがいます。
その論文がこちらです。
結果を要約すると、
- AMPK が最も活性化していたのは有酸素運動直後
- mTOR シグナル伝達系の活性化は、筋トレ直後~3時間にかけて上昇
- タンパク合成は筋トレ終了6時間後に最も上昇
以上より、筋肥大目的であれば筋トレと有酸素運動を離すべきということがわかるかと思います。
なぜなら筋トレ後3~6時間以内に有酸素運動をすると、AMPK が活性化してタンパク合成が抑制されてしまうことが読み取れるからです。
続いて有酸素運動の後に筋トレをさせたところmTOR 活性は影響を受けませんでした。
これなぜかというと AMPK 活性は有酸素運動終了後に上昇するも、筋トレ3時間後には元に戻ってるからということがわかります。
また、タンパク合成に関しては有酸素+筋トレ>筋トレ>筋トレ +有酸素の順で低くなっていました。
実験の注意点
ただしこの実験には2つの注意点があります。
- 筋トレは電気刺激による最大収縮を用いて、腓腹筋の等尺性最大収縮を10回✕5セットで行っている
- 有酸素運動は60分間のトレッドミルを行っている
また、今回の実験動物にはラットを用いましたが、実際にヒトでの反応を見た場合に有酸素運動をさせると中枢神経(つまり脳)の疲労による運動機能の低下の可能性があるということがあります。
加えて有酸素運動から筋トレという流れでは、エネルギー枯渇による出力低下は免れないことがわかるかと思います。
以上をまとめると、ラットでは有酸素運動→筋トレの流れが効果的であったかもしれないが、メカニズムも異なるのでヒトでの検証が必要ということです。
そしてここまでの全ての内容をまとめた時にひとつの大切な視点が見えてきます。
それは、「そもそも同日にやらなければいいのでは?」ということです。
まとめ
目的が除脂肪であるのであれば有酸素運動だけ。
筋肥大であれば筋トレだけその日のトレーニングにする。
この2つを合わせて同じ日に組み合わせる意味はあまりない。
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みの

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